生きものにやさしい、豊かな暮らしと生き方

プラモンやっつけ隊 – 私たちが大人になった時も人が健康で幸せな世界であってほしい!自分に何ができるのか、大人もいっしょに考えて欲しいと動き出した子どもたち

もりの人に聞いてみた vol.01

プラモンやっつけ
さん、さん、さん
私たちが大人になった時も人が健康で幸せな世界であってほしい!自分に何ができるのか、大人もいっしょに考えて欲しいと動き出した子どもたち

執筆・写真:プラモンやっつけ隊 / 編集・写真:眞弓英和

プラスチックの問題はレジ袋有料化の流れもあり、関心を持たれている方も多いのではないでしょうか。細かく砕けた「マイクロプラスチック」は今や、水道水や空気中にも存在し、環境や生態系に対して深刻な影響を与えています…。
しかし日本では、生鮮食品をはじめ、店頭に並ぶほぼ全ての商品がプラスチック包装されており、そのリサイクル率もプラスチック生産量の全体から見ると極めて低い状況です。廃プラスチックの海外への輸出規制が強化され、国内の廃プラスチックのリサイクル率の向上や、廃プラスチックを生まない暮らしへのシフトが高まるなかで、都市に住む私たちだからできることがきっとあるはず。
そんな問いを持ち、動きはじめた小学生たちがいました。
これからの時代を生きていく彼らの想いと活動を、2021年9月23日に開かれた「みたか市民活動・NPOフォーラム」のお話からたどります。

プラモンやっつけ隊のはじまり

明さん 2020年11月に、学校の図書館で「プラスチック惑星・地球」という本を見つけて読みました。そして「プラスチックの海」という映画を見ました。アザラシやカメは、プラスチックのあみや袋にからまって動けなくなり、カメはクラゲと間違えて、レジ袋を食べていました。クジラのおなかからもたくさんのレジ袋が出てきて、プラスチックが原因でたくさんの生き物が死んでいるのです。
映画が終わるとびっくりしました。座っていたイスにもプラスチックがついていて、私が飲んだジュースのふたもプラスチックでした。外を歩いていても、電車に乗っても、家に帰っても、プラスチックだらけなのです!
私は映画館で「プラスチックモンスターをやっつけよう!」という本を買ってもらい、家で何度も読み返しました。とても便利でみんながたくさん使っているプラスチックが、とても環境に悪いことをはじめて知って、「プラスチックから動物や地球を守ることにする!」と決めました。

その週の日曜日、さっそく三鷹台の公園のイベントに「プラスチックモンスターをやっつけよう!」の本を持っていって、「みんなでがんばろう!」と書いて見せました。私は、「プラモンやっつけ隊」という名をつけて、いとこや学校の友達に話したところ、みんなが仲間になってくれました。

悠さん 2021年5月24日にプラモンやっつけ隊は、むさしのクリーンセンターの見学に行きました。僕たちが毎日捨てるゴミが、どこへ行くのか見たかったからです。
このクリーンセンターには、ゴミ収集車が1日に約80台も来て、全部で100トンくらいのゴミがあつまって、もやされます。ゴミをもやすと、「二酸化炭素」が出て、「地球温暖化」の原因になるので、ゴミを減らすことが大事だと知りました。プラスチックゴミや、ペットボトルは、専門の会社へ運ばれて、リサイクルされます。でも、よごれていたり、他のゴミとまざっていると、リサイクルできないので、きちんと分けること、きれいに洗うこと、決まった日に捨てることが大切だと教えてもらいました。
張られていたポスターには、『「海のごみ」のほとんどは、りくから流れ出たもの』と書かれていました。海のプラスチックゴミも、ふだんから僕たちが出すゴミが、いろいろな理由で海まで流れていったもので、そこでプラスチックモンスターになっていました。

雪さん むさしのクリーンセンターの隣には、SDGSについて勉強できる本や、アップサイクル工作ができる「むさしのエコリゾート」がありました。ゴミに出される、おかしの箱や、梱包材や、布の切れ端などがたくさん置いてあって、私はそれを材料にした作品を作りました。また、ここで知った「SDGS」と「アップサイクル」という言葉についてもっと知りたいと思いました。

2021年6月13日、「親子で学ぼうSDGSと地球」というオンライン講座を受けました。SDGSとは日本語で「持続可能な開発目標」です。もっと簡単にいうと「みんなが、笑顔でくらせる未来のための目標」です。世界には、貧困や 紛争、気候変動など、問題がたくさんあります。無理だという気がしますが、1人ひとりが考えてできることを見つけて、続けていけば できると思います。子どもから大人に、たくさん意見を言うことも大切だと教えてもらいました。

雪さん これは、私が夏休みの自由研究にしたアップサイクルです。私が着ていたスカートで、給食袋と給食ナプキン、ヘアバンドを作りました。作りかたを教えてくれた私の母も、捨てるしかなくなった子ども服を使って移動ポケットをたくさん作ってくれました。お店で買ったり、普通の布で作るよりもずっと大変で時間も掛りますが、できるだけ持ち物を使い続けることが大切という気持ちがいっぱい詰まっています。

このように私たちは、アップサイクルをしましたが、それが大変だという人は、「欲しい」と言う人を探してみるのはどうでしょうか。捨てるのではなく、アップサイクルや人にあげるのを、私はおすすめします。

そのほかに、2021年に「プラモンやっつけ隊」として活動したこと

マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜
公園や道路のゴミ拾い
拾ったゴミを、種類に分けてみると、一番多いのはたばこの吸いがらでした。たばこの中にはプラスチックのフィルターがついていることを知らない人もたくさんいると思います。どうしたら道に捨てなくなるでしょうか。
マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜
田うえのお手伝い
お米を育てる田んぼでも、プラスチックが使われているのを知っていますか。それを教えてくれたみそのたかしさんの、農薬を使わない田んぼにいって田植えをしました。その田んぼには、かぶとえびやかえるなど、たくさんの生き物が住んでいました。
マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜
プラスチックゼロのお弁当
「葉っぱでかおりのラッピング」という本を見て、 お弁当にプラスチックの代わりに葉っぱを使うことを見つけました。母にたのんで作ってもらって、学どうの先生にも見せました。
マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜
みつろうラップづくり
プラスチックラップの代わりに使えるみつろうラップを作りました。思ったより固いですが、お皿にかぶせたら簡単に使えて便利です。よごれがついたら、水でやさしく洗って、何回も繰り返して使えます。
マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜
生物分解性プラスチック作り
土に埋めるとバクテリアや虫のエサになって、土に戻るプラスチックをつくる実験に参加しました。牛乳とレモン汁を使って、しぼってから型にはりつけて乾かすと、固くなってプラスチックみたいになります。
マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜
はみがき粉
ふつうのハミガキ粉は、プラスチックのチューブに入っていて、研磨剤としてプラチックのマイクロビーズが使われています。ココナツオイルと重曹、ハッカ油をまぜて作りました。

活動する中で思いついたこと

明さん 紙ストローを思いついて手作りしました。トイレットペーパーのしんを使ったので、ちょっといやがられましたがおもしろかったです。

悠さん ストローのことを考えると、僕は毎日学校の給食に出る牛乳のストローをなくしたらいいと思うので、校長先生と話したいです。
あと長野県のスーパーで買い物をしたとき、レジのまえの台にポリ袋がありませんでした。「代わりに、お肉売り場や必要な場所に袋が置いてある」と書いてありました。スーパーにポリ袋が全然ないのは困ると思いますが、無駄に使わない工夫がいいので、他のスーパーもマネしたらいいと思います。

映画「マイクロプラスチック・ストーリー」やテレビ番組からも学びました

雪さん 「マイクロプラスチック・ストーリー」は、ドキュメンタリー映画です。ニューヨークの小学生たちが、環境ゴミの問題について勉強していました。町や海辺でゴミ拾いをして、その種類を調べたり、化学せんいの洋服を洗濯すると、プラスチック ファイバーが出るとわかる実験などをしました。研究者や専門家とも話しをしました。ハチミツや塩やペットボトルの水からもプラスチックが見つかりました。人間のうんちからも見つかりました。みんな、プラスチックを食べていたのです。そして生徒たちは、学校の給食でプラスチックを使わないプラスチック ゼロのランチの日を実現しました。
プラスチックを減らしたいという気持ちが、よく伝わってきたし、私たちにもできることをたくさん教えてくれました。

あとNHKスペシャル「2030未来への分岐点」というテレビ番組からも教わりました。最近の研究では、マイクロプラスチックよりも小さいナノプラスチックが見つかったそうです。その大きさは、細菌やウイルス同じで空気中を飛んでおり、高い山の雪の中からも見つかりました。人間の体の中に入って健康を害し、おなかの中の赤ちゃんを育ちにくくする可能性もあるそうです。プラスチックは、動物だけに悪いのではなく、人間にも悪い影響を与えます。プラスチックを使うと、それは私たちにかえってくるのです。

マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜
https://www.microplasticstory.org/

2030年までに、どんな社会に変えていけば安心できるのか、自分に何ができるのか

悠さん 今、世界の海には51兆個のマイクロプラスチックがあります。このままだと、2050年までに海のプラスチックゴミの重さが、すべての魚の重さより多くなり、2070年には世界のゴミの量が9,000万トンになってしまいます。そうすると空気の中に、もっとたくさんのマイクロプラスチックが入って、毎日、大きなマスクやゴーグルが必要になるかもしれません。

雪さん SDGSの目標は、2030年です。2030年になると、私は19才です。
明さん 私は16才です。
悠さん ぼくは17才です
明さん それまでに目標を達成できないと、世界の問題を止めることができなくなると言われています。
雪さん このままだと2070年には、動物も人間も生きるのが大変な世界になってしまうかもしれません。2070年になると、私は59才です。
明さん 私は56才です。
悠さん ぼくは57才です。
明さん 私たちが大人になる時のことを考えると、今はとてもこわいです。
雪さん 大人のみなさんも自分には関係ないと思わないで、いっしょに世界の問題を考えてください。
悠さん 最後にお願いです。
雪さん 2030年までに、どんな社会に変えていけば私たちが安心できるか、考えてみてください。
明さん 2030年までに、自分が何をできるか考えてみてください。

雪さん、悠さん、明さん よろしくお願いします。今日はこのような発表ができてとてもうれしいです。ありがとうございました!

後日談

三鷹市の井の頭一丁目町会では、「がんばる地域応援プロジェクト」(地域自治組織活性化事業)を活用して<プラモンやっつけ隊>と<おさがリサイクルプロジェクト>の活動を応援し、その一環として3月3日に第五小学校の5年生を対象に「マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜」の上映会を開催、町会員と第五小学校の児童・保護者に限ってオンライン配信がされる運びとなりました!

また三鷹市では、市民、団体、事業者の先導的な活動を広く紹介することで、市民の環境に対する意識の向上や行動を推進することを目的として表彰を実施しています。その「令和3年度 環境活動表彰」に<プラモンやっつけ隊>と<量り売りの店・野の>が選ばれました!

本当に大切なことは何か。地域の大人たちも無邪気な子どもたちの活動に刺激をもらいながら、その輪は少しずつ広がっているようです。

マイクロプラスチック・ストーリー 〜僕らが作る2050年〜

Shere

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