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世界で初めて「自然の権利」を憲法で認めた国、エクアドル。南米の先住民たちの文化的背景について

世界で初めて「自然の権利」を憲法で認めた国、エクアドル。南米の先住民たちの文化的背景について

エクアドル。南米にある国で、その国名はスペイン語で”赤道”という意味です。

エクアドルと日本との距離は、太平洋を挟んで約15,000kmもあるので、みなさんにはあまり馴染みがないかもしれません。北はコロンビア、南と東はペルーと国境を接しています。
この国は2008年、世界で初めて「自然の権利」を憲法で認め、法律に含める国になりました。自然に権利があるとは、人間に人権を認めるのと同じように、「自然」そのもの、木や川、山、生物たちにも権利を認めるということです。

気候変動が極めて重要な問題となっているこの時代に、人間中心主義から脱却し、すべての中心に生命を置く、生命・自然中心主義への象徴とも言えるでしょう。

なぜ、南米の小さな国エクアドルがそのようなことを成し遂げられたのか、それはバラエティに富んだ美しい地域を持つからなのかもしれません。エクアドルは4つの地域に分かれると言われています。

1つは山岳地帯であるシエラ(アンデス/キト)、2つ目はコスタ(海岸地域)、3つ目は西に1000キロほど離れたところにあるダーウィンの進化論の元になったと言われる世界自然遺産第一号のガラパゴス諸島、そして4つ目がオリエンテ(アマゾン熱帯雨林地帯)です。

エクアドルには、先住民の9割を占めるといわれる高地に住むケチュア族をはじめとし、20以上もの先住民族がいて、それぞれ独自の言語や文化、規律で暮らしています。

首都キトからカヤンベに行く途中に北半球と南半球を分ける赤道線の地点があり、この場所自体が大きな日時計となっています。

「地球の中間地点」という名前が付けられているモニュメント

通常わたしたちは地軸が垂直方向に伸びるように地球を見る世界観で生きています。しかし、ここでは北が上、南が下という上下が存在するという前提に基づいた世界観の中ではなく、視点を変えて太陽の軌道を中心として北は上ではなく左に、南は下ではなく右と見る世界観が存在します。すると「上下」という観念はなくなり、すべての地域は絶えず時とともに位置が入れ替わるのです。

南米の先住民は、太陽を神として崇め、太陽の動きを中心として自然を捉えてきました。この先住民の見方に沿って世界をとらえ直すことでもたらされる、互いに平等で上も下もない世界観を私たちが持つことができたら、世界はどのように変わっていくことができるでしょうか。

カランキ族の太陽の動きから暦を知るための装置、育てる作物と結びついている
カランキ族の集落にある太陽を模した空間で焚かれる、場を清めるパラサント(香木)

アンデスの人々が崇拝する女神、母なる大地「パチャママ」

エクアドルでは、前述したように自然に権利が与えられています。その中でも71条には
「自然すなわち“パチャママ”は、生命が再生され生み出される場であり、その生存、およびその生命サイクル、構造、機能と創成プロセスの維持と再生を統合的に尊重される権利を有する」
ことがうたわれているそうです。(出典:https://ideasforgood.jp/glossary/rights-of-nature/

パチャママという言葉は、ケチュア語とアイマラ語を話す先住民グループの両方で使われていたことが、スペイン人のコンキスタドール(征服者たち)によって16世紀にすでに記録されてます。

「パチャ」は大地(世界、風景、土地、土壌、時間)を表し、「ママ」は母(魂、本質)を表し、その二つを合わせたパチャママ(Pachamama)は、アンデスの人々が崇拝する女神であり、インカ神話では「母なる大地」と呼ばれています。

エクアドルの憲法に先住民の世界観や文化が反映され、取り入れられていることは、エクアドルがいかに先住民の人々を尊重しているかを表しています。

Writer

アースウィズダムジャパン

アースウィズダムジャパンは、地球の自然を守り、社会的公正を実現し、人々が精神的に充足して生きられるよう、地球上に住む先住民、および太古からの叡智を受け継ぎ、広めるための活動を行うことを目的として設立された団体です。

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